このサイトを立ち上げたきっかけ

私は70歳になる現役リハビリテーション医師です。リハビリテーション医師は、病気や怪我によって残ってしまった障害(後遺症)を診る専門家です。実は私も障害を持っており、6歳の時に交通事故で右大腿切断(右足太ももからの切断)となってしまいました。右足は義足でこれまで生きてきました。正直言って2本足で走った(かけっこをした)ことの記憶はまったくありません。身体障害者手帳3級を持っています。こうした障害をもったことでリハビリ医になったという経緯もあります。

さて障害には様々なものがありますが、その根本には体が思うように動かない身体障害があり、元気であった時とは異なることでの劣等感や挫折感などを持っておられるのではないでしょうか。私がそうでした。社会からは少し離れた自分がいました。そのような精神的な心の悩みはけっこう重いものであることを実感しています。

私の妻は薬剤師ではありますが、3人の子育て経験、病気の両親を抱えての介護、そして両親を在宅で看取るという経験をして現在にいたります。たくさんの精神的な苦悩を母として、娘として体験してきています。障害を持った私にも長い間付き添ってくれて障害や仕事に対する悩みを聞いてくれました。相談するとこころ穏やかになり、ほっとすることが何度もありました。私のこれまでの人生は妻と相談しながら作り上げてきたものです。また妻はそうした苦悩の体験の上に、さらにたくさんの精神心理的な勉強をしてきました。私が及ばないほど心の問題には精通しております。

私は身体障害をお持ちでさらに「摂食嚥下障害」に悩む患者さんに対して深く関わってきました。誤嚥するので「口から食べることが禁止」され、その結果鼻からのチューブや胃瘻で栄養を与えられたりする患者さんに対して、摂食嚥下障害に対するリハビリを実施することで再び口から食べることができるように治療してきました。「嚥下障害って何?」と言われた1990年頃から深く関わってきたパイオニアの1人です。「摂食嚥下障害のリハビリ」の専門家と自負しています。

私が身体障害、特に嚥下障害のご相談にのり、その中で精神心理的問題を強く感じた時には、そのこころの悩みをすこしでも楽になってもらえるように、こころの問題を妻に担当してもらおうと思っております。私1人では不十分と思われるところを2人で補いあうことで、よりよい状況を作っていくことを目標に、「嚥下とこころのケア 風鈴~妻とふたりで〜」を開設いたしました。

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